生物学科の学生が"ファインディング・ニモ"を見たら超絶面白かった

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ファインディング・ニモが2003年に公開され早13年が経つ。

興行収入8億6463万ドルを叩き出した本作品の続編、"ファインディング・ドリー"が7月16日(土)から公開されているが、

その予習としてニモ会なるものを開き、友人とDVD鑑賞を行った。

 

13年前、筆者は7歳。

時は経ち、現在20歳。さらに現役の理学部生物学科生。

沖縄で海洋生物を学ぶものが本作を観ての感想をつらつらと書こうと思う。

 

本作の基礎知識

wikipediaより

概要

製作はディズニー&ピクサーで、フル3DCGで描かれた。ピクサーの長編アニメーション作品としては第5作目になる。日本では2003年12月6日公開。第76回アカデミー賞では長編アニメ賞を受賞した。
 
主人公ニモ(Nemo)の名は、ジュール・ベルヌの小説『海底二万里』に登場する主人公ネモ船長(Captain Nemo)から採られている。
 
2012年に3D映画『ファインディング・ニモ 3D』が公開。同時上映は短編アニメーション『レックスはお風呂の王様』。
 
2008年4月18日に日本テレビ系列の「金曜ロードショー」で初めて地上波での放送が行われた。その後、2013年7月24日にTBS系列の「水曜プレミア」、2016年7月15日にフジテレビ系列の「金曜プレミアム」でも放送された。
 

あらすじ

舞台はオーストラリア・グレートバリアリーフの海。クマノミのマーリンは妻のコーラルといっしょに卵の世話をしながら、2日後の子供たちの誕生を楽しみにしていた。ところが突然オニカマスに襲われ、幸せな日常に終止符が打たれる。気を失っていて助かったマーリンが意識を取り戻すと、妻と卵たちは姿を消していたが、たったひとつだけ卵が残されていた。父マーリンは、唯一残った子に、妻の遺志を尊重するべくニモと名付け過保護に育てる。ニモは片方のヒレが小さく、あれこれと心配し過ぎるマーリンにニモはうんざりしていた。はじめて学校に行った日、ニモは一人で船に近づき人間に捕らわれてしまう。ニモを取り戻すため、マーリンはナンヨウハギのドリーといっしょに旅を始める。
 
以降、マーリンとニモが再会するまでの冒険活劇が展開する。本作の主要テーマは、家族の絆と友人との信頼である。並行して海中の多様な生態系や人間が海洋に与えている影響なども描かれている。全般として、家族向けエンターテインメント作品としての色彩が強い。
 

登場人物

マーリン(Marlin)
カクレクマノミ(注:生物学的にはクマノミ亜科のペルクラ種(Amphiprion percula))の雄。妻のコーラルと多くの卵をバラクーダ(オニカマス)の襲撃で失い、以来神経質な性格になる。かなりのトラブルメーカーで、他人の話をまともに聞こうとしないため、余計な事態を招いてしまう事が多い。
しかしニモを愛する気持ちは本物であり、自身の行動が原因でニモが捕らわれてしまった事には負い目を感じていた。
愛するニモを救うため、ドリーと共に一路シドニーを目指す。そして旅をする中で、彼自身も逞しく成長していく。
ドリー(Dory)
ナンヨウハギの雌。ニモを攫った人間が乗るボートの目撃者。能天気な性格。
重度の健忘症持ちだが、知能が高く人間の文字を読む事が可能でクジラ語という言語を用いてクジラとの意思疎通が出来る。アルファベットを読解する才能を買われてマーリンの旅に同行する。
ニモ(Nemo)
マーリンの息子で、人間で言うと6歳くらい。生まれつき片方のヒレが小さいせいで上手く泳げないが、マーリンとニモは「幸運のヒレ」と呼んでいる。
過保護な父に反発した結果、人間のダイバーに捕まってしまい、シドニーにある歯科診療所へ連れてこられる。そこで出会ったタンク・ギャング達と絆を深めて、共に脱走計画を立てることになる。終盤でも大きな活躍を見せる。
名前は彼の母親となるはずだったコーラルの要望から名づけられた。
サメトリオ
ブルース、アンカー、チャムからなる三匹組。
サメ族の悪いイメージをよくするため、「魚は友達、エサじゃない」をモットーに掲げて海藻食主義を貫こうと努力している。夜中に沈没した潜水艦に集まって努力の成果などを発表するミーティングをしている。しかし、それぞれ短所があるためイメージ向上は難航している。逆にそれさえ除けばマーリンやドリーの良き理解者である。終盤でドリーをニモの学校に送り届けた。
ブルース(Bruce)
ホホジロザメ。三匹組のリーダー格。アンカーとチャムと共に魚を食べない様に努力している。父親を人間に殺されたらしく顔を知らないと語っている。息子を探しているマーリンを「父親の鑑」と評している。普段は陽気な性格だが血の臭いを嗅ぐとアンカーとチャムの制止も無視して凶暴化して魚を追い回す短所がある。
アンカー(Anchor)
シュモクザメ。ブルースとチャムと共に魚を食べない様に努力している。可愛い子ぶるイルカを嫌っている。しかし、ブルースやチャムとは違い魚の友達を連れて来るという課題を成し遂げたり暴走するブルースの事を弁解するなど目立った短所は見られない。
チャム(Chum)
アオザメ。古い釣り針を鼻ピアスにしている。ブルースとアンカーと共に魚を食べない様に努力している。しかし、隠れて魚を食べておりミーティングの際に一瞬、口から魚の骨が出てしまった。
アンコウ(Angler fish)
獰猛な深海魚。およそ言葉を解する様子はない。マーリンとドリーを襲うが、岩に引っ掛かった水中メガネに突っ込み、身動きが取れなくなってしまった。
クラッシュ(Crush)
150歳のアオウミガメ。ヒッピー精神の元に息子をのびのびと育てている。原語版では監督のアンドリュー・スタントン自身が声を担当する。
スクワート(Squirt)
クラッシュの息子。ニモと同じ年頃の遊び盛り。終盤で交換留学生としてニモの学校の生徒になる。
ナイジェル(Nigel)
コシグロペリカン。タンク・ギャングにとっての外界の窓口であり、良き友人。
カモメ(Gull)
シドニー港にたむろする海鳥たち。見かけによらず貪欲で、セリフは皆「チョウダイ」(原語は“Mine.”=俺の、日本語字幕では“エサ”)のみ。
カニ(Crab)
汚水処理場に通じる海底パイプの穴から出てくる残飯の欠片を漁って生きている二匹組。嫌味な性格でマーリンの居場所を素直に教えなかったため、怒ったドリーにカモメの前に出され無理やり聞き出される羽目になった。
ギル(Gill)
ツノダシ。“タンク・ギャング”の中で唯一の海育ち。少々融通が利かないところもあるが、仲間思い。
幾度も脱走に挑戦し、失敗を繰り返している。右半身に残る傷跡はその名残。ニモを「シャークベイト」と名づけたのも彼である。
ピーチ(Peach
紫のヒトデの雌。水槽のガラスにへばりつき、外で起こっていることを仲間に伝えるのが仕事。
日がな一日診療所を観察しているため、歯科についての知識はかなりのもの。また、英字も理解できる。
ガーグル(Gurgle)
ロイヤル・グランマ。重度の潔癖症
デブ(&フロー)
ヨスジリュウキュウスズメダイの雌。水槽のガラスに映る影を双子の妹だと思い込んでいる。
バブルス(Bubbles)
キイロハギ。水槽のオブジェである宝箱から不定期に出てくる泡に執着している。
ブロート(Bloat)
ハリセンボン。感情が高ぶると勝手に体が膨らむ性質。
ジャック(Jacques)
アカシマシラヒゲエビ。水槽の掃除担当。フランス訛りがある。
フィリップ・シャーマン(Dr. Philip Sherman)
シドニー港に面した通りで診療所を経営する歯科医。ニモを“さらった”人物。
彼が帰りに落とした住所入りのゴーグルは、マーリン達がシドニーを目指すたった一つの手掛かりになった。
彼はニモをさらった事を、サンゴ礁から離れて死にかけていたところを助けたと誤解していた。
ダーラ(Darla
シャーマン医師の姪。7歳。誕生日になるとプレゼントの観賞魚を貰いに診療所にやってくる。
魚はたいていその日のうちに振り回して死なせてしまうため、タンク・ギャングからは恐れ憎まれている。
古めかしい歯列矯正器具をつけている
 

設定がわかるのが楽しい

カクレクマノミに関して

父親マーリンは海、
母親コーラル(coral)はサンゴを意味する。
サンゴ礁に住むカクレクマノミらしい名前だ。
また、クマノミという魚は3種類存在する。
である。
これらは、体の白い線の本数で区別できる。
白い線が1本なのがハナビラ、2本なのが普通のクマノミ、3本なのがカクレクマノミである。
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↑ちゃんと3本確認できますね(^^)
 

クマノミの雌雄に関して

有名な話ですが、クマノミは性転換をします。
クマノミのカップルは、大きい個体がメスで小さい個体がオスとなります。
若干ですが、母親コーラル(下)の方が大きく見えます。
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また、物語のように母親がいなくなると、オスは性転換してメスとなり、新たにオスを探してペアを作ります。
そのため、"映画でマーリンがメスにならないのがおかしい!"という説もありますね。
しかし、性転換は瞬間的に起こるものではなく、数週間かけて行われます。
マーリンはメスになろうとしながら冒険していた、ということになります。笑
また、最終的にニモと再会できましたが、
彼らの周りには他にクマノミがいない環境なため、あの親子はゆくゆくは
マーリンがメス、ニモがオスとなりカップルになると予想できます。
 

ドリーに関して

ナンヨウハギのDory
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ドリーの設定はナンヨウハギとされています。
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そっくりですね(^^)
 
しかし、ドリー(Dory)という名前はマトウダイという別の種類の魚です。
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マトウダイナンヨウハギは分類学上全然近くない魚である。
しかし、ドリーという名前をつけている以上その理由があるはずである。
私の見解では、、、
ナンヨウハギは群れで生活する。
一方マトウダイは単独で行動することが多い。
あのお調子者のドリーには群れの行動は適さないのではないだろうか。
マーリンとの出会いのシーンでも、他の熱帯魚との群れの中にはいたにせよ、
他のナンヨウハギはおらず、1人であった。
ドリーという名前にはそんなところが反映されているように思える(ドリーに関しての考察は、ファインディング・ドリーを見ればより深まるかもしれませんね)。
"物忘れがひどい"ドリー
以前このようなツイートが話題となりました。
しかし、これは誤解だと言われています。
魚の記憶に関する実験も行われ、魚には記憶力があると結論出されています。
しかし、群れの規模でその記憶力が左右されるとも言われています。
そのため、単独行動をするドリーだからこそ、
記憶力は弱かったのではないかと考えられます。
 
しかしドリーは、攫われたニモの手かがりであるフィッシャーマンの住所だけは記憶することができました。
それはマーリンとの友情の力…物語的にはそうも思えますが、
マーリンとドリーが一緒に行動するようになり、小さいながら群れと化したことで記憶力が増したのではないか、とも考えられます。
 

教材研究されまくっていることに感動

ピクサー映画は、膨大なリサーチの上に成り立っている。
…ということは聞いたことがある。
バグズライフ、ミスターインクレディブル、カーズ、インサイドヘッド、モンスターズインク、トイストーリー、ファインディングニモ、etc
ピクサー映画の考察は例外なく面白い。
 
ニモに関しても、それぞれの生物種の特性や役割が見えて面白いのだ。

サメトリオ

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サメトリオは、ホホジロザメシュモクザメ・アオザメである。
彼らは"魚は友達、餌じゃない"を合言葉にしている
ホホジロザメ
最大6メートルにもなる大きなサメであるが、お腹が空いていない限りは何か危害を加えることはない
シュモクザメ・アオザメ
危険だと言われているが、人を襲った例は多くない
 

海に存在する爆弾

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このシーンに疑問を持ち、調べてみた。
すると見つけたこの記事
戦争のときの爆弾を海上で落としてしまったなどの理由で、
海に爆弾が存在するという例があるそうだ。
しかもリンク先によると"水爆"があるという、、、そしてそれは回収されていないらしい。
放射能が漏れている可能性もあり、いつ何時爆発が起こらないとも言い切れない。
そんな環境問題が存在していることを初めて知りました。
 

魚目線と人目線

ニモは攫われた存在であるが、
フィッシャーマンによれば
"サンゴ礁から離れて死にそうになっているのを助けた"らしい。
魚も1匹の命。家族がいる。
それを改めて理解させられました。
 
 
 
・・・
長くなっているのでこの辺で。
昔見た映画を再度見ると、違う感想を持てるのがとても面白いと感じました。